いびつな三角形の花園の巻 後編
リリアン「まあ汚らわしい…玄関にウジが大量に湧いてるなんて…駆除しないと…」
いよ「おひさしゅう、リリアンはん!初めてこさせてもらったけど中々ええ豪邸やないの!まあウチのおとうはんのお屋敷には程遠いけどねえ」
まいく「…イヨサン、カゲマル、イナイミタイダ」
いよ「あらほんまに!せっかくウチが直々にあいさつしに参じたのに残念やわあ」
いよ「せなら、躾をうまくほどこしてない飼い主はんにうーんと注意したらなあかんわなぁ?ウチの子らが舐められるってことはウチも舐められるようなもんやさかい…」
ぽっちゃり「はりきっていきましょー!」
ちび「オラオラ!かげまるがいねーからってチビんなよ!!」
がんぐろ「テメーの生意気なツラをぐしゃぐしゃにしてやんぜ!!!」
リリアン「…」
リリアン「…ハッ!まるで滑稽だわ…まさかこの私が影丸なんかの尻拭いをしてやらねばならないとはね…」
リリアン「いいわ、受けて立ちましょう…この私の神聖なお屋敷に下賎な足で踏み入れたことを後悔させてあげる…!!生きて帰れないわよ…!!」
一方
くらま「でかしたぞ嵐山くん!わざわざリリアンの元へいく手間が省けたというものだ…」
らんこ「はい~!たまたま見かけたので運が良かったんですよ~!えへへ~」
かれん「ん…」
かれん「…へ?」
くらま「やあ、お目覚めかな、犬飼くん!」
らんこ「おはようございます~」
かれん「ここどこですか!?あなたたちは…!?」
くらま「犬飼くん…キミはなんでも聞くところによると痛みを負うごとに本能的快楽を脳で得るという話を小耳にはさんでね…それが本当かどうかこの私の目で直に見てみたくてね…」
かれん「…!!」
かれん「いやっ…!!かれんのこと犯すつもりなんですね…!いや!やめて…!!そんなの…!!いやぁぁ!!」
くらま「…安心したまえ…私はリリアンのような気色の悪い性的指向はもっていない…」
らんこ「なんか一人で勝手に興奮してます~」
くらま「では始めようか…!!嵐山くん…!脳波を測定する準備したまえ…!!さあ、犬飼くん…上着を脱ぐのだ…!それと手は後ろに回す!!」
かれん「くすん…お願いします…なんでもします…痛いことしないでください…!」
くらま「ダメだ!!キミでなければ安定した研究結果は得られないだろう…!さあ鞭打ちだ…!キミは…キミはなぜだかわからないが本当に見ているだけでいたぶりたくなるな…!!」
かれん「いやあ…おうちに帰して…!」
らんこ「??? く、くらまさん??さっきまで冷静だったのにどうしちゃったんですか…」
ガタンッッ!!
くらま「む!誰だ!?」
くらま「!!」
かれん「!」
らんこ「きゃ~」
ザンッッ!!
くらま「ぬうっ!!!」
かげまる「…」
かれん「かげまるさん…!」
かげまる「かれんさま…さあこれを着て、行きましょう!」
かれん「はっ、はい!!」
くらま「ぐううぅ…!!!」
らんこ「く、くらまさんだいじょうぶですか~」
くらま「かげまるぅぅ…!どうやら今日はキミと私との最高の記念日となったようだ…!!」
かげまる「おケガはありませんか?かれんさま」
かれん「はっ、はい!大丈夫です!!」
かげまる「かれんさま…上着のボタンをしめてくださいませ、風邪を引いてしまいますよ」
かれん「はっ、はい!!」
かれん「……かげまるさん…」
かれん「どうして…どうして私なんかにそこまで親切にしてくださるんですか?」
かれん「私…暗いし、地味で運動も勉強も全然できないし…中学校の頃もいじめられて…そんなグズだから…昔面倒をみてもらってたお母さんに捨てられて…それなのにかげまるさんは私にとっても優しいです…どうしてですか…?かげまるさんに申し訳なくって…合わせる顔がないよ…」
かげまる「私だけではありませんよ…私の知るところでは笹井さまやすずさま、小岩井さまとも仲がよくて、皆さんかれんさまによくしてもらってるのでは?」
かれん「うん…はい…!みんななんでかやさしいの…すずちゃんも…まるみちゃんも…いつかちゃんも…私に優しくしてくれて…皆…私なんかと一緒にいて楽しいのかなって思うこともあります…」
かげまる「かれんさま…一昔前にかれんさまは川原で遊んでいた小さな男の子の失くしたオモチャを日が暮れるまで一緒に探してあげたそうですね…」
かれん「え…ど、どうしてそれを…!?」
かげまる「実を言うとたまたま見ていたのですが、かなり下流の方に流されていたのにもかかわらず一生懸命になって探してあげている姿にこのかげまるは感服いたしました…おそらくみなさんはかれんさまのそういった優しくて繊細なところが好きなのでは…?」
かれん「えっ!えっ…!!や、やさしいだなんてそんな…私繊細なんかじゃないです…!」
かれん「やだ…!ほんとにそんなんじゃないのに…!どうしよう…!はずかしい…!私そうじゃない…」
かれん「!」
かげまる「かれんさま…なにかあった時は…このかげまるにいつでもお申し付けください…!私は…かげまるは…かれんさまをお守りし…幸せにしたいと願っております…!」
かれん「かげまるさん…?」
かれん「……」
かれん「…!!」
かれん「かげまるさんごめんなさい!!!」
かげまる「!!」
かれん(かげまるさんごめんなさい…!ごめんなさい…!ごめんなさい…!!私はかげまるさんに幸せにしてもらう資格なんかないんです…!!私なんかが…それに私には…!)
かげまる「かれんさま…!!」
かれん(今の私には…!!)
いよ「ま…まだよ…!!まだしょうぶは…」
いよ「ついてまへん…え…!」
がんぐろ「だー!!!いよさんが負けたぁぁぁ!!!」
ぽっちゃり「いやあああああ!!!」
ちび「い…いよさん!!」
まいく「テッタイ!テッタイー!!」
リリアン「はぁ…はぁ…ムシケラ風情が…この私に歯向かおうだなんて100年早いのよ…!!」
リリアン(危なかった…!伊予を先に潰しておかなかったら数の暴力に飲まれてた…!!伊予も伊予であの慢心がなければ私も今頃は…さすがは西地永区を牛耳る実力があるだけのことはあるわね…)
リリアン「かげまる!!!!かげまる、どこにいるの!!!返事しなさい!!!あんたのせいで私は怪我してるのよ!!!かげまる!!私は!!あなたがいないとダメなの!!早くでてきなさいよ!!!」
リリアン「!?」
かれん「り…リリ様…!!どうしたんですかそのお姿は…!」
リリアン「チッ…」
かれん「リリ様…」
リリアン「邪魔よ、消えて…!お前なんてお呼びじゃないのよ…!!見ててムカつくんだから…!!」
かれん「…」
プツ… プツッ…
リリアン「?」
かれん「きゃん…キャンキャン!」
かれん「キャイン!キャイン!くぅ~ん…」
かれん「!」
リリアン「消毒液と包帯よ!!聞こえないの!?痛くて死にそうだわ… 早く取ってきて!!このノロマ!!」
かれん「!!」
リリアン「それと…あなたお風呂入ってる??くさーい!!ドブのような臭いだわ…!!あなた確か貧しいからろくにお風呂も入れないんですってね…!これじゃあ本物の犬と同じレベルね!!…仕方ないから飼い主である私が責任をもって洗浄してあげるわ…感謝なさい…」
かれん「リリ様とお風呂…!うれしいです…!!」
リリアン「はぁ??あなた犬でしょう??何を人間の言葉なんて話してるの??バカのくせに生意気だわ…あとでたっぷりお仕置きする必要があるわね…!」
かれん「キャンキャン!キャイーン!!」
かげまる「…」
かげまる「…」
???「あの…す、すいませーん…!」
めがね「かげまるさんですよね…今日のお昼はあぶないところをありがとうございました…!」
かげまる「ああ…こんばんわ…」
かげまる「その節はご学友のだんごさまに対して無礼を致してしまい、申し訳ございませんでした…」
めがね「へっ!?私は全然気にしてませんよ!むしろだんごさんはもっとひどいめに合うべきかと…!!……どうしたんですか?なんか暗いですね…?」
かげまる「いえ、別に…」
めがね「そうだ!お礼もかねてこれで元気出してください!」
かげまる「?」
めがね「じゃーん!ラッキーキャンディーです!最初は黒色だけど舐めていくとその色で運勢が変わる!」
かげまる「それは確か最近流行りの…高かったのではありませんか?」
めがね「お礼ですから!よければどうぞかげまるさん!」
かげまる「…すいません、ありがたくちょうだいいたします…」
かげまる「…」
キラッ!!
めがね「あっ…!!それは…!!」
めがね「かっ、かげまるさん!!それプラチナカラー…!!すごい…!」
かげまる「…?そんなにいいものなのですか?」
めがね「幸運ぶっちぎりですよ!!かげまるさんすごいですね!お見事です…!!」
かげまる「…」
かげまる「くっ…ははは…ははははは…!!」
めがね「!?」
めがね「かげまるさん…泣いてます…?」
かげまる「ええ、泣いてますよ…当たりが出て嬉し泣きしてるんです…」