外伝 怪人空手チョップ現る!の巻 前編
棕櫚(しゅろ)「ともはるー!おっはよー!!」
しゅろ「あれ?どしたの??元気ないね」
友晴(ともはる※めがねの弟)「あ…うん、実はさ…」
???「な、なんだって!?」
一同「怪人空手チョップ!?!?」
ともはる「そうなんだ!!昨日出たんだよ!!そんで…!おれの姉ちゃんが襲われたんだよ!!」
りんえもん「怪人空手チョップ… 太蔵(たいぞう)、知ってるか!?」
たいぞう「最近出没し始めた変質者だな、林右衛門(りんえもん) なんでも夜な夜な現れてはか弱い女性を狙って空手チョップをお見舞いするっちゅーわけのわからん変態のことだ!」
のの「うあっ!うああっ!!どうしよう!!ぼくなんか出会っちゃったらチョップどころか正拳突きもらいそう!!ひいいい!!」
しゅう「話聞いてたのかよ、ノノ、相手は女しか狙わない変態ヤローだっていったじゃねーか」
のの「でもぼくどんくさいから逃げられそうにないよ秋(しゅう)!!」
しゅう「だから話きけって」
はるお「ッキショー!!!オレの愛しのともえさんを襲うとは許せねえ!!男の風上にもおけねえ野郎だ!!!なっ!!竜太郎(りゅうたろう)!!」
りゅうたろう「…」
はるお「こういう時でもなんかいえよ!!」
りんえもん「そうか…お前のお姉さんが…気の毒だったな、とも…」
ともはる「昨日姉ちゃんの頭見たんだけどもうボッコボコでさ…それはもう見るも無惨な姿だったよ…」
のの「あああああ!!!!こわいよおおおお!!!!!」
はるお「うっし!!今日は学校終わったら全員でそいつを囲んでミンチにしちまおうぜ!!」
たいぞう「聞くところによるとそいつは一応空手チョップを名乗るだけ会って武術の心得があるらしいだ、数じゃあオラ達が有利だが闇雲に突っ込んでも返り討ちにあう可能性があるだぞ!」
りんえもん「たいぞうの言うとおりだ、オレたちみたいな子供が束になったって敵わないかもしれない…やるにしてもなにか作戦を立てるべきだ!」
しゅう「作戦ったってなにすんだよ 待ち伏せして罠でも張るのか?」
たいぞう「んーむ…更に聞いた噂じゃかなりの快速らしいだ…本気で逃げられたとこをオラ達で取り押さえられるかどうか…」
はるお「…オレってばすっげーいいこと閃いちゃった…♪」
りんえもん「何!?春男(はるお)!何を思いついたんだ!」
たいぞう「おめえみたいな煩悩の塊からでるアイデアなんてロクでもなさそうだな…」
はるお「あ!?言うに事欠いて煩悩の塊たあ何事だ!?オレァ繊細なんだよ!!傷つくぞ!!!」
たいぞう「いいからいってみるだ」
はるお「なーに、簡単よ…女ばかり狙うってこたぁ、そいつは余程の女好きだってこった…それなら話ははえぇ、今からくじ引きをしてアタリを引いた奴が女装をしてそいつをおびき寄せる囮になるって名案だ!!どうだ!文句ねーだろ!!」
・・・
りんえもん「お、お前ってやつは…!女好きだが気のいいバカヤロウだと思ってたのに…そんな趣味にまで傾倒していたとは…!見損なったぜ…!」
はるお「だー!!!別にそんなじゃねえよ!!他にいい案あるのかよ!?ないな!!じゃあ決まり!!オラオラはじめっぞ!!!」
たいぞう「女装とかいうアホなアイデアはともかく囮を使うってのはまあいいセンはいってるだ…」
はるお「よーし、まずはののからいこっかー」
のの「わーい!!くじ引きだいすき!!!」
しゅう「おい…」
しゅう「なんでお前が勝手に順番を決めてる…?」
はるお「うっ…!?」
しゅう「それのラストは誰だ…?このオレか…?」
はるお「ハッ…!ハッ!!バカじゃねーの!!オレがそんなセコい手使うかよ!!順番なんざ考案者のオレが決めてなんぼだろ!!」
しゅう「じゃあののの前にまずオレからだな…!」
はるお「はあ!?ざけんじゃねーよ!!ひっこんでろよ!!もうお前ラストな!!決定!!」
しゅう「てめえ…!!」
しゅう・はるお「ン!?」
しゅう・はるお「りゅ、りゅうたろう…?」
はるお「や、やってくれんのか?」
りゅうたろう「…」
はるお「ま、まあやりたいってんならとめないけどよ!」
ともはる「そういえばりゅうたろう小学校卒業するまで子役俳優やってたんだよな うってつけっちゃ、うってつけか!」
たいぞう「うーむ…あんま乗り気じゃねえんだが、とりあえずこれで事を進めるだか」
りんえもん「よし、昼休みになったらまた作戦を練って基盤を固めよう、学校が終わって十分に準備が済んだら行動開始だ!お互いがんばろう!」
夕方
ともはる「オレの姉ちゃんのお古だから…ちょっと大きいかもしれないけど…ど、どう?おっきくない?」
りんえもん「とものお姉さんは割りと大柄だからな…し、しかし…!これは…」
のの「アハッ!りゅうちゃんすごいね!本物の女の子みたい!!」
しゅろ「ほんとの女の子そのものだよ…!うわぁ…!」
はるお「お、オレ…お前見る目変わるかもしんねえな…!!」
はるお「やいとも!!お前なんでミニを持って着させなかったんだよ!!ああん!?」
ともはる「ね、姉ちゃんは地味系だからミニなんか履くわけ無いだろ!!大体相手は竜太郎だぞ!!馬鹿なんじゃないのおまえ!!」
りんえもん「コ、コホン!作戦を説明するぞ…囮を使って罠を張って、かかったところを袋叩きにする作戦だ それ以上でもそれ以下でもない」
はるお「罠ってもう作ってあんのか?」
りんえもん「ああ、それはさっきここで集合する前に俺とたいぞうとしゅろとともはるで作っといたんだ」
しゅう「じゃあオレたちはその罠の張ってあるポイントに誘い込めばいいわけだな?」
りんえもん「まあそういうことになるな」
たいぞう「一応聞いてる情報だとほぼ必ずと言っていいほど午後の19時頃には出没するって話だ そんでもってこの通りがそうなんだな だからりゅうたろうには我慢比べだがこの通りで適当にうろついてもらうことにするだ」
のの「あわわわ、ぼくなんかこわくなってきちゃった」
りんえもん「それじゃあ行動開始だ!!みんながんばるぞ!」
一同「おう!!!!!!!!」
しゅう「…おい、この通りで本当にあってんのか…?」
たいぞう「一応目撃された話によると8割型ここらしいんだが…」
ともはる「姉ちゃんもここで襲われたっていってたぞ、だったら間違いないよ!」
はるお「怪人空手チョップねえ…つーかオレ等がここで見張ってんの、感付かれたんじゃねえのか??」
りんえもん「…仮にそうだったとしてもそれがそいつの抑止力になってるのだとしたらいいことさ 少なくともオレたちは役立ってることになる」
はるお「ああ!?冗談じゃねえ!その変態のことコテンパンにしてやりたいのによ!警備しにきたんじゃねーんだぜ!!」
しゅろ「…」
しゅろ「り、りんえもん!ごめん!オレ…おしっこいきたい…!」
りんえもん「ン!?そうか…!わかった、近くに公衆便所があるから行ってきてくれ!」
しゅろ「ごめん!すぐ戻る!」
りんえもん「気をつけるんだぞ!」
はるお「変態空手チョップ野郎も今頃便所でデケー糞してたりしてな」
しゅう「時同じくして違う場所で被害にあってる女がいたとしたらわらえねえな…」
たいぞう「んーむ…深夜に時間を変えたとしたらちょっとオラ達の手に負えねえな…そこまで夜更かししちまったら登校がつらいべ!」
りんえもん「今日は21時まで粘ってみよう!みんなそれまで頼む!!」
しゅろ「みんな今頃怪人をやっつけてるかな…」
しゅろ「!」
しゅろ「うわ…わ…」
りんえもん「……あれから10分経つけどしゅろの奴遅いぞ…!?ここから公衆トイレまでそんなに離れてないんだが…」
ともはる「ま、まさか!?その怪人空手チョップって女しか狙わないんだろ…!?」
ズリッ!ズザザザ!!
しゅう「!?今の音は…」
たいぞう「張ってた罠が作動した音だ!!みんなりゅうたろうのところへ急ぐだ!!」
りんえもん「急げ!りゅうたろう一人だけだ!ヤバイぞ!」
たいぞう「ぜぇ…ちょ、ちょっとまってくれろ…!ぜぇ…!ぜぇ…!」
ともはる「う…!?」
りんえもん「これは…!!」
はるお「ぐっ…!!ふぅぅ…!ちがっ!!お、おれだ…!おれだよ…!!!ぐえええ…!」
ともはる「何してんだそんなところで…」
はるお「ちょっと…!!退屈だからりゅうたろうのやつをおどかしてやろうとおもって…!!まちがって罠にひっかかっちまった…!!ぐええ…!!」
たいぞう「こんのアホタレが!!3時間かけて作った罠を台無しにしやがってこのぉ!!!」
りんえもん「それ確か足からひっかかる罠だよな…なんで首吊った状態になってるんだ…」
はるお「ど、どんなパンツ履いてるのかと思って覗きこもうとしたらこうなっちまった…!!たすけてくれ…!!死んじまう…」
しゅう「しんだら?」
はるお「ぐううう!!そりゃあないぜ…!」
「キャアアアアァァァ!!!」
ともはる「いまのって…女性の声…」
りんえもん「あっちから聞こえたぞ!!みんな急ごう!!」
しゅう「チッ…完全空回りしてるじゃねーか…!」
たいぞう「ううっ…!こりゃむごいだ…」
りんえもん「みんな!気を引き締めろ!怪人はまだこの近くにいるはずだ!」
たいぞう「せ、潜伏してるだか…!?」
ベキッ!!
たいぞう「ぐっ…!?」
バシッ!!
りんえもん「うあっ!!」
ともはる「わわわ…!!たいぞう!りんえもん!!」
???「君達か、さっきから私の有意義な時間を邪魔しようとするのは…」
しゅう「す、すると…!てめえが…」
???「そう、私が君達が呼んでいる怪人空手チョップだ」